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2010年12月

2010年12月19日 (日)

東京都青少年健全育成条例(6)都民主党はなぜ賛成したか

石原慎太郎都知事の狙いが、マンガたたきではないことは間違いない。本人のスキャンダラスな作品を見ての想像ではない。政治的に、何が起きたのか、ひとつの推論が成り立つ。

石原の狙いは、再選。状況は、3月都知事選と区議会選挙、都議会は任期が残り二年で、現在自公は過半数を取れていない。何か理由をつけて解散させれば民主党の議席減は確実である。再選のためには得意のポピュリズム分野での一発逆転が必要である。マンガ規制に民主党が反対すれば、それを理由に議会解散すればよい。この条例のことを理解すればほとんどの人が反対であろうが、残念ながらマンガのポルノ規制と誤解されている。条例通過後の報道を見ても、マスコミ自体が十分理解してない。選挙に突入して、詳細な報道がやりにくくなれば、勘違いしたままの人々は石原支持までいかずとも、自公支持、民主はなにをしているとなるであろう。都議会で、民主党は過半数を切り、自公は過半数を取り戻せば、その恩返しとしての再選の可能性が開けてくる。

このように状況理解すれば、民主首脳が避けるべきは、都民に誤解されたままのこの条例をきっかけに解散されることである。そもそも、民主党への追い風がやんでいるだけでも都議員選挙で民主党が多数通ることはむずかしいのだ。なぜ、私が、このような推論にいきついたか根拠を挙げよう。石原は、漫画家を卑しい職業とまで言って挑発、また、都が再提出した条例案は、少しも譲歩していないどころか、6月に否決されたものよりひどいものであった。それに警察側からみれば、私が、対比のために出した案で十二分である。民主党に否決させたかったとしか理解できない動きであった。付帯決議は、さすがに解散の理由には無理なレベルでカッコがつけられる内容となっている。

出版物のことを十分に理解していない都議員は少なくないかもしれないが、都知事選が迫っていることがわかっていない者はいない。猪瀬副知事の発言も、都知事になれるかもしれないと目がくらんでいるとすれば、なるほどである。

菅首相のエールは、せめて中央の民主党は、出版物の規制に積極的でないことを言っておこうということであったろう。

反対派で尽力した都議員も、自分達が解散されて落選するから賛成したという理由は支援者に伝えられない。

いずれにせよ、全ては、都知事選次第である。

2010年12月14日 (火)

東京都青少年健全育成条例(5)報道検証と基本からの説明

 東京都青少年健全育成条例改正案について、報道機関の報道がはっきり誤っているのが目に付きます。「過激な性描写のある漫画の販売を規制する「都青少年健全育成条例」の改正案について」という記述が複数の媒体で見られるのは、これは、東京都側の説明が鵜呑みにされて使われているのではないかと推察します。これだと刑法175条のわいせつ図書と混同されて、成人コミック並みのマンガが対象と誤解されていると思います。

 青少年条例の有害図書指定とは、どんなレベルのものか表現が過激な順に示します。

レベル1:刑法に反する違法図書 わいせつ図書 いわゆる裏本 裏ビデオなどです。

レベル2:成人指定図書 出版社等による自主規制により、成人向けとして販売される 例としては、AV 成人コミックなどです。

レベル3:青少年条例に基づく有害図書 成人指定ではないが、青少年には有害とされるもの ほぼ全ての都道府県の条例により、県ごとに指定されている。例としては、県によっては、少年ジャンプ、プレーボーイなど、少年向けのコミックまでが指定され成人コーナーにしか置けないために販売不能となったこともあります。  

レベル4:今回東京都が青少年条例改正で有害と指定しようとしている漫画 例は予測不能?

以上のことをまず説明しなくては報道にならない。それどころかわいせつコミックなどという言葉を使って規制は必要という言説まで耳にします。わいせつ物の販売は刑法犯であり、条例改正など全く不要で逮捕できます。よほどの勘違いが広まっているものと理解しています。このことは、逆に、本当のことが知れ渡れば規制強化反対論が広く指示されるということを意味すると考えます。

何度も説明するように現在の東京都の現在の青少年条例7条の1、「性的感情を刺激し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」(レベル3にあたる)により既に、「過激な性描写のある漫画の販売」は規制されており、これを拡充する必要は全くありません。

2010年12月10日 (金)

東京都青少年健全育成条例(4)継続審議を求む

 東京都の青少年健全育成条例の改正案審議が、いよいよ大詰めである。政治過程を知る者から見れば、条例案まるごと受け容れは無理で、なんらかの妥協を探って今回通過させると読むのが普通であろう。

 理由は簡単、選挙を考えれば、ここで妥協通過させても、反対派は次回選挙で民主党に投票するほかない。まさか自公には投票しない。となれば、選挙で批判材料に使われないために、今回決着をつけておきたい。短期的な選挙戦略としては、合理的判断である。

 しかし、民主党は、ここで妥協通過させてはならない。根拠は、正論がひとつ、私なりの状況判断がひとつである。

 11月22日に不意打ちで仕掛けた条例案について、民主党都議の首脳は、話し合いをして調整してきたから賛成しなければというが、漫画家、出版会は、全く話し合いさせてもらっておらず、ここで首脳だけで他の会派と話し合っても、これは和解案ではない。漫画と出版に通じた人間を話し合いに入れないでは、日本流の、議会外でよく話し合う民主主義にすらなっていない。漫画と出版を理解していない者が、二三日で条文をいじってもダメである。継続審議にして、きっちり議論することが正論である。

 今回の反対運動は、日増しに勢いを増しており、若者達の鬱積したエネルギーに火がつけば、恐るべき大きな展開となる可能性を秘めている。短期的な合理性を追求した対価は途方もなく大きい可能性がある。私が、ここ数年の日本人の意識調査を分析した結果、35歳以下の人々が何かを起こす兆候がある。もちろん、預言者でもなんでもない私に、その爆発の時期も規模も予測はできないが、少なくとも、反対運動は、今回の結果がどうであれ、さらなる発展を目指すであろう。

2010年12月 8日 (水)

東京都青少年健全育成条例(3)市民参加と民主主義

 12月6日中野ゼロで開かれたシンポジウム「『非実在青少年規制』改メ『非実在犯罪規制』へ、都条例改正案の問題点は払拭されたのか?」<共同代表:藤本由香里(明治大学准教授)・山口貴士(弁護士・リンク総合法律事務所)>に、1500人が来場、ホールは550人しか入れないので、別室とロビーでモニターを見つめる300人以外は、帰っていただいた。ニコニコ動画の中継は、76939人、夜中12時からの再放送は、58924人、合計135863人であった。

 60年代の学生運動は、70年安保が最後、それ以降は、いわゆるプロ市民によるデモ行進はあっても、普通の人々が繰り出すことはほとんどなかった。世代が上の人々は、全然感ずいていないが、35歳以下の若者が怒って街に繰り出す気配を感じる。

 問題は、それが良いことなのか悪いことなのかである。反対運動は、ただ漫画を自由に書きたい読みたいのエゴではないかという批判はありうるだろう。しかし、シンポジウムで政治家が発言したように、「政治に無関心でいることはできても、政治に関係なくいられることはできない。それが単に好きな漫画を読んで言いたいというだけのことであっても」という言葉が、現状を見事にとらえている。まだまだ高尚な市民意識には遠いとしても、単に自分の要求のためであっても、政治に関心を持って行動することは、大きな一歩であると信じる。それに、規制強化派のほうに目を転ずると、そちらのほうが、より低次元とみえる。

 都議会レベルの問題に、私が本気で取り組んだことは初めてであるが、今回12月の提案には、悲しむべき低次元の特徴が二点みられた。第一点、東京都は、11月22日まで、どのような内容の条例案であるのか、反対運動シンパである民主党議員に隠し通した。議論も反対運動もできないような日程で、都議会通過を目指した確信犯的な手続きを採った。民主主義を踏みにじる行為であるが、これを大スキャンダルと捉えて報道するマスコミがいないのが、現在日本の言論界の現状である。第二点、民主党の首脳達は、東京都側と、調整をおこない譲歩を引き出したつもりでいる。しかし、肝腎の部分において、全く都側のいいなりで、文言を代えて、うまく言い含められているとしかみえない。そうだとすれば、相手が、警察キャリアで有能であったとしても、なお、都議たちに条例立法能力の基本的な力が欠けているのではないかと危惧される。もっとも、これには別の解釋が成り立つ。民主党都議の反対派に条例案を隠し通したということは、はじめから騙しうちのつもりであった可能性である。

 あれこれ詮索しても、しかたない。本日発売の岩波書店の月刊誌『世界』で書いたように、少年犯罪が凶悪化しているといった誤った情報を国民に与え、恣意的な世論調査によって、厳罰化世論、不届きな若者はガツンといけといった流れで押し切られないように、じっくり戦っていきたい。

2010年12月 4日 (土)

東京都青少年健全育成条例(2)

【12月3日(金)午後1時】「東京都青少年健全育成条例改正を考える会」の記者会見に参加しました。場所:東京都庁記者クラブ(都庁第1庁舎6F)

テーマ:「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案」の問題点について

主催:「東京都青少年健全育成条例改正を考える会」
(共同代表:藤本由香里(明治大学准教授)・山口貴士(弁護士・リンク総合法律事務所))

<登壇者>
河合幹雄(桐蔭横浜大学法学部法律学科教授)
呉智英(評論家・日本マンガ学会会長)
こうの史代(マンガ家)
高沼英樹(出版倫理協議会委員)
竹宮惠子(マンガ家、京都精華大学マンガ学部学部長)
西谷隆行(児童と表現のあり方検討委員会委員)
山田健太(日本ペンクラブ 言論表現委員会・委員長)
山中 恒(児童文学者)
藤本由香里(明治大学教授准教授)
山口貴士(弁護士・リンク総合法律事務所)

今朝、朝日新聞が社説http://bit.ly/ieKPPA、「都の漫画規制―手塚、竹宮の芽を摘むな」で都条例改正案に反対の立場を鮮明にしてくれた。

後は、12月6日の反対集会でどれだけ集まれるかである。議員を動かすには投票してもらえると信じてもらわなければならない。そのためには、行動で示すほかない。これまでの青少年条例による表現規制強化は、漫画家と出版会、日本ペンクラブなどの反対にもかかわらず、食い止められなかった。今年3月と6月の勝利は、普通の愛好家達が、東京都に要望をだし、議員のところに手紙やメールを出したからである。6日の集会に集まる人数が前回の豊島公会堂に集まった1000人を下回るようではまずい。ひとりでも多くの参加を呼びかけます。

時間と場所の都合でこれない人は、ニコニコ動画の中継があります。その視聴者数も反対集会の大きさとして示せますので、視聴しましょう。

生中継

「『非実在青少年規制』改メ『非実在犯罪規制』へ、都条例改正案の問題点は払拭されたのか?」開催のお知らせ

主催:「東京都青少年健全育成条例改正を考える会」
<共同代表:藤本由香里(明治大学准教授)・山口貴士(弁護士・リンク総合法律事務所)>協力:「コンテンツ文化研究会」

2010年12月6日(月)
18:30(開場) 19:00(開演) 21:15(終了)

中野ZERO小ホール(JR/東西線中野駅南口から徒歩8分)

<パネリスト予定者>

河合幹雄(桐蔭横浜大学法学部教授・法社会学者)
呉智英(評論家・日本マンガ学会会長)
ダニエル兼光真(翻訳家)
西谷隆行(日本雑誌協会・編集倫理委員会委員)
保坂展人(前衆議院議員・ジャーナリスト)
水戸 泉/小林来夏(作家)
藤本由香里(明治大学教授准教授)
山口貴士(弁護士・リンク総合法律事務所)

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